L300系オプティでよくある故障の一つに“パワーウインドウの不良（窓が開閉しない）”が挙げられます。
原因はパワーウンドウ・スイッチ（S/W）の不良が多いようで、S/W交換で修理完了となります。
でもね、S/W Assyの交換だと万単位の出費になるし、なによりS/W不良なんて他の車種じゃまずお目にかかりません。
ということは何かこの車種特有の原因があるはずです。
といったところで故障の原因と思われる箇所を探してみましょう。
（幸か不幸か、現車のパワーウインドウは動きが怪しいながらも健在だったりします）
パワーウインドウの動きを確認するために、ドアにブチルゴムで貼ってある防水ビニルを剥がします。
ワイルドに綺麗サッパリ剥がしても良いのですが、今回は上から下に中途半端に剥がします。<再び貼る場合にやりやすいから
今回のように中途半端に剥がした場合、剥がした部分がブラブラしないようにマスキングテープ等で仮に固定しておきます。
（不用意に服や内装にブチルゴムが不着することを防ぐ為）
この状態でガラスを上下させる為に、パワーウインドウS/Wを接続しておきます。
（ガラスを上下させる為にイグニッションS/WをONにするんですが、誤ってSTARTまで回して飛び出さないように注意するのは当然として、さらにサイドブレーキをしっかりかける、ギアはニュートラルにしておく、ついでに輪止めもかましておく）
（ONにしたままだと点火系やコンピューター等にも電流が流れっぱなしになるので、ガラスを動かす時以外はOFF、ACCにしておく）
X状のリンクがレールを移動することでガラスを上下させています。
リンクやレールのグリス切れによってモーターに無理がかかってS/Wが故障しているのかと考え、スプレーグリス等を注油して上下させてみます。
元々が全開状態からガラスを上げると中間付近で止まりそうになって、そこを過ぎればまたスムーズに上昇するといった状態だったんですが、グリスを注油して数回上下させても改善されていません。
ガラスを上下させながらリンクの動きを観察したところ、X状のリンクが一直線になって反転する場所（ガラスの上下の中間点）でリンクのローラーとレール後部のガラスを固定する為のボルトが干渉している（当たっている）ようです。
ローラーとボルトが衝突していることでリンクの動きに無理がかかり、S/Wが焼損するのではないか？と考えたんですが、リレー位使っているんだよね？
（配線図なり、S/Wからモーターまでの配線をたどって確認等はしていないからよく分からないんだけど）
ナニワトモアレ、ローラーとボルトの干渉は見逃すわけにはいかないんで、これを改善します。
レール前後のボルトを緩め、ローラーと後部のボルトとのクリアランスを確保します。
（後部のボルトだけ緩めても動きません）
再びボルトを確実に締め付けて、ガラスを上下させてみます
中間付近で動きが悪くなることもなく、快調にガラスが上下します。
これで大元の原因を排除できたのではないでしょうか？
モノはついでで、パワーウインドウS/Wの内部の接点も確認しておきます。
ビス2本を取り外せばカバーからS/Wを切り離せます。
ケースはひたすらハメ込みなんで、写真を参考に分解します。
不幸にしてケースを割ってしまったら、ビニールテープを巻く等の対策で切り抜けます。
分解する際、金物がポロリと落ちてきても慌てないように。
運転席以外のS/Wの端子は乗っかっているだけです。
むしろ組み付けるときにポロリとやらないように注意しなければなりません。
S/Wの接点を確認してみると、どういう訳か助手席側の接点が焼損して黒くなっています。
これを放置しておくと、ジワジワ焼損が進み電流が流れにくくなってしまうので、紙ヤスリで磨いておきます。
焼損が進み全く電流が流れなくなっても、接点が完全に溶け落ちていない限りは、この方法で修理が可能です。
運転席側（これだけスライドS/W）の接点は、軽くキズが付いている程度だったので、接点復活剤と綿棒で可能な限り磨いておきます。
（この接点だけは分解できなかったけど、分解は可能だと思う）
接点が綺麗になったら、金物をポロポロ落とさないように再び組み立てます。
この時、運転席のS/Wの接点側と操作するノブ（レバー？）のハメ合わせに注意します。
いい加減に組み立てると、S/Wが上、下どちらかに入りっぱなしになる恐れがあります。
残念ながら、この部分の写真は撮影し忘れです。
流石にこの辺の作業になると、イッパイいっぱいです。
ものはついでですが、このS/W Assyにはコンデンサや抵抗が使用されているので、パワーウインドウが作動しない場合はこの辺の部品も疑ってみる必要もあるのかもしれません。
