フルフェイスヘルメットのシールド取り付けビスの複製

ヘルメットを入手したのだが・・・

近所のゴミステーションでこんなモノを発見しました。



アライのフルフェイスヘルメット
その場で、ざっとチェックしたところ、強く当たった痕も無く、内装が血の海ってことも無かったんで有り難く拾ってきました。

幸い(?)内装や縁ゴムの接着が弱くなっていたんで、外せる限りの内装や縁ゴムを取り外して、トニック・シャンプーと歯ブラシでこれでもかって位、内装の洗濯をしました。
乾燥後、においを嗅いでも特に異臭も無かったんで、第一段階クリアーです。

内装や縁ゴムはボンド・Gクリアーで再接着してカタチになりました。
これで第二段階もクリアーです。

細かい傷が至る所にあったんで、タッチアップをしたんですが、仕上がりイマイチ。
時間をかけて、何度もタッチアップを繰り返せば綺麗に仕上がるんですけど、それほどヒマでも無いんで、程々に。
(傷はパテで拾って、全塗装したほうがハナシが早そうです)
第三段階クリアー、っちゅーか、保留。

ここで、今まで触れていなかった大問題なんですが、



シールドを押さえているビスが一本どうやっても回りません。
プラスチックのビスなんだから、錆びて固着するわけがないんだから、回るはずです。

仕方ないんで、ビスを破壊したところ、雄ねじと雌ねじがガッチリ接着されていました。
残ったプラスチックの雄ねじはドリルとタップで取り外せば良いのですが(幸いヘルメット側の雌ねじの損傷はありませんでした)、破壊したビスが問題です。

ホームセンターなんかでは同じモノは売ってないし、果たしてアライから部品として取り寄せることができるのでしょうか?

ってことで、無事なビスを無発泡ウレタン樹脂で複製して使用することにします。
ビスの材質はABSのようですが、力のかかる場所ではないので、ウレタンでもいけるでしょう。
強度的にダメなら、他の方法を考えます。


複製する為に、まずは無事なビスから型を起こします。

型を作るため、紙コップの底にビスを瞬間接着剤で接着します。
(写真は説明用に紙コップを切断していますが、実際は紙コップをそのまま使用します)

そこに型取り用のシリコン(シロプレンRTV-2K)を流し込みます。
ビスのアタマが隠れてから更に10mm程の高さになるまで流し込みます。(シリコンを約40g使用)

シリコンの硬化後、紙コップを破壊すると“シリコンの中にビスが埋まっている物体”が出来上がります。

このままでは、ビスを取り出すことが出来ないので、シリコンの外周からネジ山までカッターで切れ目を入れます。
切り込んでいって、ビス頭を越えたあたりで切り込みを止めます。
反対側も同じように切り込みを入れます。

ホントはやらない方が良いのですが、今回はこの作業と平行して別件でシリコンの塊を使用するため、シリコンの両端を切り取ります。



すると、この写真の状態になります。 (撮影のため、全ての作業が終了してから改めてビスをセットしているため、切れ目がはっきり判りますが、この時点では切れ目は、ぴったりくっついています)

シリコンを引き裂かないように、慎重に切れ目を広げてビスを取り出します。
(上手い具合にポロっとビスが取れるワケではないので、知恵の輪状態で結構無理矢理取り出します)



これで、型の完成です。大量生産(と言っても、せいぜい数十個)には無理ですが、数個程度の複製(今回は1個有ればよい)なら、この程度の簡易な型で十分でしょう。



切れ目を開いて確認すると、ネジ山がシリコン型にコピーされていることが判ります。



切れ目がずれることを防ぐために、紙コップを型に被せます。
(型の高さより低くなるように輪切りにし、樹脂を流し込む為に底に穴を開けておきます)

このネジ山の所の穴から注型用無発泡ウレタン樹脂(プロキャスト2000)を2g流し込みます。

半分位流し込んだところで、型を横倒しにしたり、型の角を軽く机にぶつけたりして気泡を抜きます。
実際に気泡が完全に抜けたかどうかは判らないのですが、残りの樹脂をすり切り一杯状態になるまで入れて完全に硬化するのを待ちます。
(複製したビスを取り出すとき、ビスに相当無理がかかり、硬化が不十分だとビスの頭が変形する恐れが有るため)



型から複製品を取りだしてみると・・・。
ビス頭に3箇所、ネジ山に数箇所気泡が見られます。

ネジ山の気泡は雄ねじが一部欠けているだけで、ネジとしての機能に支障が無いため無視してこのまま使います。
(元々、ネジの強度は無視しています)

ネジ頭の気泡のうち、取り付け後見えるものだけは修正します。



気泡がビス頭を貫通しているため、裏にマスキングテープを貼り、表から気泡にウレタン樹脂を入れて穴埋めします。
完全に硬化する前(透明な樹脂が白く変色しだす頃)に、穴から盛り上がっている樹脂を穴に押し込みます。
(単に樹脂を入れただけだと、微細な気泡が残ることが有るため)

樹脂が完全硬化する前に#400のペーパーでビスの頭なりに手早く成形します。

その後(完全硬化後)#600→#1500のペーパーでビス頭の表面を整えます。



Mr.メタル・プライマー→Mrカラーの黒の順でエアブラシで塗装してビスの複製は終了です。

一円玉を使用してヘルメットにねじ込んでみたところ、特に問題なく締め込めたので結果オーライってヤツです。


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