キーシリンダー組み替え記

キーシリンダーに関する複雑な事情

ワタクシの310サニー・カリフォルニア(DATSUN E-WHB310)には当然幾つかの鍵がついているわけです。
(詳細は省くけど、道路運送車両法の保安基準(国土交通省省令)により、鍵が付いていなければいけないのです)
当然、一本の鍵で用が足りるハズなんですが、ドア交換しているらしくてイグニッションSW、右ドア、 フユーエル・フィラー・リッドは共通なんですが(便宜上この鍵をエンジンキーと称します) 、左ドア、リア・ゲートはそれぞれ一本ずつ鍵が必要です。

ということで、キーホルダーに鍵が3本ぶら下がっているという状況に陥っています。 (それがズボンのポケットに入れっぱなしなんで、ズボンの傷みも激しい?)

この現状を解決するためには、思い切って今風にキーレスにしちゃうのもテなんですが、それ相応に 金かかるし、バッテリーにも負担かけるんで、左ドアとリア・ゲートのキーシリンダーをエンジンキーに合わせて組み換えます。


左ドアのキーシリンダー組み替え

左ドアのキーシリンダーは予備の中古品を持っているので、ダメもとでこれから加工していきます。



まずはシリンダーを分解するわけですが、表面のステンレス製のカバーを外さなくてはいけません。
“鍵の110番”の類の業者だと、組み替え用のカバーを部品として持っているので、カシメ部分をサンダーで切断して 外すのですが、ワタクシは当然のように持っていません。
地味にカシメを全周にわたってマイナス・ドライバーで起こしてカバーを外します。カバーは再使用するので、表面を傷つけない& 変形させないように注意しつつ作業します。
(見てくれ気にしないなら、ワイルドにやってもオッケーなんだけど)



カシメを起こしてしまえば、カバーは外れます。
カバーが外れると、シリンダーが出てきます。

シリンダーの中立位置を出すための、チェックボールとスプリングがシリンダーにはめ込んであるので、無くさないように注意!です。 全く固定されていないので、いとも簡単に紛失することができます(笑)
完成後チェックボールの組み忘れに気が付いて改めてカバーのカシメを起こしたのはナイショだ!



シリンダーにはディスクとスプリングが差し込まれています。(プライヤーでカンタンに引き抜けます)
ディスクが出たり引っ込んだりすることで、施錠、開錠ができるわけです。



エンジンキーを差し込んだ状態で、ディスクがシリンダーから出っ張らないようにディスクを組み換えていきます。
(1枚入れてエンジンキーを差し込んで出っ張れば、改めて別のディスクを入れる。これをディスクが出っ張らなくなるまで 繰り返す)
↑の写真は、組み替えた状態。
6枚のディスクのうち、4枚は組み替えでシリンダーから出っ張らなくなりましたが、表面から1枚目と4枚目は出っ張っています。

この2枚は入れ替えても出っ張ってしまいます。
2種類の対応方法があります。

1.この2枚は取り外してしまう。
ディスクの枚数が減ると、ピッキングでの開錠が容易になりますが、自動車の場合、ガラスを割るとか、シリンダーに マイナス・ドラーバーを叩き込んでキーシリンダーAssyを回転させるといった攻撃方法が主流で、ピッキングは、ごく希なので 問題はないでしょう。

2.ディスクの出っ張る部分をカットする
手間は少々かかりますが、気分的には良いような・・・。



ということで、ディスクを加工して組み込んだ状態。
シリンダーAssyを仮に組み立てて試したら、鍵は回ります。鍵の出し入れも出来ました。



エンジンキー以外の鍵を入れてみると、ちゃんとディスクが飛び出します。
ということで、きちんと鍵として機能することが確認できます。

余談ですが、全てのディスクを抜いてしまうと、ブランク・キー(合い鍵を作るときの山を切っていない鍵)でも施錠、 開錠が可能になります。
廃車をひっぱてきてオコす場合に、鍵を紛失している状況だったら、このテを使うと手っ取り早いかもしれない。 (鍵はなんでもいいから、同型車から流用若しくは、合い鍵を作る。見かけ上は鍵は機能している)



ディスクの組み替えが完了したので、元通りに組み立てます。方向等間違え易いのですが、作動させて確認しながら組み立てていけば 逆向きに組んでもすぐ判りますから、随時確認。

最後に小型のハンマーを使って、カバーを元通りにカシメるんですが、プレスを使った時のように完璧にはカシメることはできないので カシメた後、その部分にボンドG-17(たまたま手元にあったから。当然コーキング剤でも可)を塗って防水処理します。



組み替え作業には全く関係ないんですが、ついつい分解してしまったんで記念写真です。
マイナス・ドライバーでちょっとコジると簡単に外れてしまいました。


リアゲートのキーシリンダー組み替え

リアゲートのキーシリンダーは、ライトバン等で良くある施錠、開錠の他に、シリンダーを押し込むことで 開閉も行えるタイプです。
カリフォルニアはリアゲート裏のレバーで施錠、運転席横のワイヤー式リモコンで開錠という機能も加わります。

ということで、リアゲートの鍵が無くても施錠、開錠は可能ではあるんですが“荷物を持っているから、運転席よりリアゲートを まず開けたい”という場合も多々あるわけですから、組み替えます。



まず、固定ボルトを外してラッチを押したり、リモコンに繋がる為のプレートを取り外します。
固定ボルト以外にナットのかかっているボルトがありますが、これは絶対回さないこと!<ラッチを押すボルトなんで、回すと再調整しなければならない

カバーのカシメを外すわけですが、左ドアのシリンダーは全周カシメてあったのに、リアゲートは3ヶ所のツメでカシメてあるだけです。 (補修用のカバーがこのタイプです)



シリンダー本体を抜き出すんですが、鍵を差し込んでないとディスクが引っかかって抜けません。 ということで、まずはこのシリンダーに合う鍵を差し込みます。
この状態で、ストッパーを押し込みながら引き出します。

このシリンダーにもチェック・ボールがありますから、無くさないように注意!です。



これでシリンダー本体が出てきました。



ディスクの組み替え&加工は左ドアの場合と同じ要領なので省略です。

組み替え後、シリンダー本体をケースに戻すわけですが、ケースの奥でストッパーが引っかかって挿入できないので、 千枚通しの類でストッパーを押し込む必要があります。

左ドアのシリンダーを組み換えて要領が判ったせいもあるのですが、リアゲートからの脱着も含めて1時間程度で組み替え作業は 終了しました。

ドア交換の際、マメにキーシリンダーも交換しておけば何の問題も発生しないのですが、結構この辺手を抜く板金屋が少なからず 存在するのでシリンダーの組み替え方法を知っていると、役にたつことも一生の内一回位はあるかもしれない。

back


home | slotracing cares | display modeles | figure modeles | tec files | event | bbs | link
_