走行中フェンダーミラーが脱落し、よりによって自分のクルマで踏みつぶしてしまいました。
(踏んだ瞬間、もの凄い破裂音がしました)
もっとも、落とした場所が吹雪きの峠の登りなんで、例え無傷で転がっていても、止まって拾っていたら遭難してしまうんですが。
なんとか無事車庫に納まったわけですが、修理しないことにはどうにもなりません。
(フェンダーミラー無しで、左一杯に寄せて収めるのは恐怖!です)
幸い、ミラー本体は予備の中古品があるので、これを使用します。
ミラー本体と、ミラーの足とフェンダーの間のパッキン(?)は無くなっていたのですが、フェンダーの裏の当て板はフェンダーに凍り付いていたお陰で回収出来ました。
写真は既にサンダーやらワイヤーブラシやらで錆を落とした状態ですが、ミラーを固定するハズの部分が腐って消失していました。
まるっきり新たに製作するには複雑過ぎる形状なので、補修して使用することにします。
(いつまで保つのか不安なトコですが)
ミラーの足とフェンダーの間のパッキン(メンドイので以下“パッキン”)の予備も左右持っているんですが、写真のとおり、左右どちらも欠損しています。
但し、それぞれ欠損箇所が異なっているので、ニコイチすれば欠損無しの部品が出来上がりそうです。
しかしながら、このままニコイチして左用を作ってしまうと、万が一、右用が必要になった場合に困ってしまいます。
ということで、現状の部品を複製してニコイチし、左用を製作することにします。
写真は、複製用にシリコン(シロプレンRTV-2K)で型をとった状態。
(注:シリコン約300g使用)
今回は量産目的ではないので(左右で最大2セット複製できれば良い)気泡の混入があっても大きな問題にならないため、いわゆるアンダーゲート構造の型にはしませんでした。
(むしろシリコンの使用量を押さえたい)
これに無発泡ウレタン樹脂(プロキャスト2000)を注型して複製します。
(注:ウレタン樹脂 左右合計約20g使用)
写真は複製した部品をニコイチして完成した左用パッキン。
ニコイチ加工中の写真がありませんが、欠損部を右用から切り出し、左に移植。
このとき、ミラーの取り付けボルト基部(中央の丸穴周辺、色が違う部分)は右用から移植したままだと逆勝手なのでエポキシパテで左用に造形しています。
注型時に発生した気泡もエポキシパテで埋めています。
このまま塗装して取り付けると、取り付けナットを締めている最中に加工部分が割れてしまうのは火を見るより明らかなので、複製して一体構造にします。
写真は先ほどの左用を型取りしたシリコン型。
(注:シリコン約160g使用)
写真のように当て板をかましてクランプします。
樹脂の注入時は、型がずれない程度にクランプをユルユルにして(樹脂が型の合わせ目から多少漏っても気にしない)、樹脂の注入が完了したところで軽くクランプします。
(クランプが強いと型が変形して、複製品も変形するため)
樹脂を型の中に行き渡らせるため(&気泡を抜くため)横倒しに近くなるまで傾けたりしながら硬化を待ちます。
(注:一回の注型でウレタン樹脂 約15g使用)
さて、その樹脂ですが、普通に成型するとベージュ色になり、完成後塗装することになります。
右のパッキンに合わせて塗装しても良いのですが、いずれは塗装が剥がれてしまうので、樹脂に着色してみることにします。
(着色した樹脂での複製がうまくいけば、スイッチ・ノブ等の複製にも応用できるかもしれないので、チャレンジです)
樹脂の着色にはマジック・インキの補充用を使用してみました。(結構ポピュラーな方法らしい)
複製品の重量15g(A液7.5g、B液7.5g)に対し、インキ12滴を混入してみました。
この12滴のインキを7.5gのA液に入れ、よく混ぜてからB液と混合して注型しています。
1回目の注型ではインキの量が少なく、成型品が黒ではなく半透明なグレイになり、2回目は樹脂の注入不足でダイナミックに欠損。
3回目の注型で写真のように、ほぼ完璧な複製品ができました。
樹脂の注入用の湯口と型の合わせ目に多少のバリがあるので、これらを切り落とします。
部品の強度以外は、ほぼ完璧にできました。
(純正部品はABS樹脂(?)なのに対し、製作した部品はウレタン樹脂なので仕方がない)
さぁ、最大の難関であるパッキンが準備できたので、当て板の修理です。
当て板とほぼ同じ厚さである(錆が酷いので正確には厚さが計測できない)1mm厚の鉄板を欠損部にハンダ付けして、ミラーの取り付けボルトの通る穴を開けます。
手持ちの40Wのハンダこてではパワーが足りないので、カセット・トーチで加熱してハンダ付けしています。
溶接機があれば溶接したいトコですが、ボルトが締まってしまえば当て板と今回継ぎ足した鉄板の間には、力がかからないハズなんで、ハンダ付けでよしとします。
当て板と継ぎ足した鉄板の間にはノックスドール700(浸透性防錆塗料)を流し込み、当て板全体にはノックスドール3 00(防錆アンダーコート)を塗装しています。
ミラーを取り付ける前に、フェンダーの裏にもノックスドール300を塗っておきます。
缶スプレーでの塗装なので、色飛びを防ぐためフェンダーの表にマスキングテープを貼っておきます。
そして、取り付けて完成!
いやぁ〜、フェンダーミラーって少々触ってもグラグラしないモノだったのですね!
高速道路走っていてフェンダーミラーがブレていたら、脱落は、すぐそこカモしれない。
後日、念のため右のフェンダーミラーを確認してみたところ、脱落こそしていませんでしたが左同様に腐食していました。
(錆でかろうじて貼り付いていただけ)
左同様に補修しますが、こちらはパッキンが残っているので、割れを補修しただけで、複製しました。
左側の作業の際、写真を撮っていなかったシリコン型の製作を改めて記します。
木で箱を作って(度々シリコン型を製作するので、何パターンか用意しています)あぶらねんどを敷き詰めその上にパッキンをセットします。
粘土とパッキンの接している部分が、いわゆるパーティングラインになります。
板の内側に粘土を盛り上げているのは、シリコンの節約の為。
粘土の内側だけがシリコン型になります。
この状態で、シリコンを流し込みます。
シリコンが硬化したら、箱をひっくり返して底板と先に敷いていた粘土を取り出します。
盛り上げた分の粘土はそのままにしておきます。
シリコンに離型剤を塗って(シリコン同士が接着しないように、パッキンに離型剤が多少付着しても気にしない)乾燥後、再びシリコンを流し込みます。
シリコンが硬化したら、箱を分解し(ビス留めになっています)粘土を除去します。
離型剤を塗った面で型を分解し、パッキンを取り出し、カッターナイフで湯口を彫れば、シリコン型の完成です。